--- title: 4-1 東アジア、南アジアの多様性と差異 |g0v シビックテックプロジェクトとコミュニティの手引き|Civic Tech Project Handbook tags: jothon, NDI --- :::success :book: Return to the homepage of the handbook: https://g0v.hackmd.io/@jothon/ctpbook_jp "g0v シビックテックプロジェクトとコミュニティの手引き" is licensed under CC BY-NC. ::: # 4-1 東アジア、南アジアの多様性と差異|g0v シビックテックプロジェクトとコミュニティの手引き|g0v Civic Tech Project & Community Handbook ### Chapter 4: アジア諸国におけるシビックテックプロジェクトとコミュニティの現状 ## 4-1 東アジア、南アジアの多様性と差異 :::info このセクションの情報の出自:「デジタルライツ・アジアパシフィック2023」と「Facing the Ocean(FtO)2023」のインタビュー対象者、及び座談会「官民連携は理想でもあり課題でもある〜異業種協業の苦い道のりを大公開〜(2022/03/22)」。 #### 1. デジタルライツ・アジアパシフィック2023 2023年5月、g0vの「Cofacts 真的假的」プロジェクトとg0vの運営チーム「揪松団(jothon)」は、米国の「National Democratic Institute for International Affairs(全米民主国際研究所、NDI)」の招待を受け、それぞれ「デジタルライツ・アジアパシフィック2023」での講演とワークショップを担当しました。チェンマイ大学で開催されたタイデジタル人権サミットには、デジタル人権のアクティビスト、ジャーナリスト、メディア関係者、アーティスト、デザイナー、エンジニア、青少年アクティビスト、疎外されたコミュニティの代表者など、35カ国からあらゆるバックグラウンドを持つ544人の参加者が集まりました。5日間の期間中に、多岐にわたるテーマで160以上のイベントが開催されました。 #### 2. 2023年チェジュ島で開催された「Facing the Ocean(FtO)Meet & Hack」 「Facing the Ocean(FtO)」は、台湾、日本、韓国、香港を含む西太平洋のシビックハッカーコミュニティで、 「Facing the Ocean Meet & Hack」は、2019年からFtOコミュニティが開催しているハッカソンシリーズです。 「2023チェジュ島 Facing the Ocean Meet & Hack」は台湾のg0v、韓国のCode for Korea、日本のCode for Japanが共同で開催しました。 #### 3. 座談会「官民連携は理想でもあり課題でもある〜異業種協業の苦い道のりを大公開〜(2022/03/22)」 台湾のさまざまな官民セクターの代表者を招き、セクターを超えた過去の協業で経験した困難や摩擦の過程を共有し、実行面や制度面についての反省とアドバイスを提供した座談会です。 ::: ## 東アジア、南アジアにおけるシビックテックの現状 ### 一、ベトナム ベトナムからのシビックテック参加者は、「TUVA Communication」、「Listening Vietnam」、「SOS Map」というベトナムの3つのシビックテックコミュニティ及びプロジェクトを共有しました。 #### TUVA Communication ![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_2f00612de2f1ec11950cc363d978033a.png) 「TUVA Communication」は、ベトナムの社会組織や企業の社会的責任(CSR)に対するコンサルティングサービス、研究、メディアプロモーションの設計、コミュニケーションおよび技術ソリューションなどを提供するプロジェクトです。さらに、さまざまな研修やイベントを開催し、専門家が社会組織や青少年グループとつながり、コミュニケーションや研修、オンラインやリアルともに各種イベントが開催されるよう促しています。 #### Listening Vietnam 「TUVA Communication」が 2017年にスタートさせたプロジェクト「Listening Vietnam」は、主に収集したオープンデータをまとめ、ソーシャルリスニングツールを使用してベトナムの研究者にデータを提供し、ベトナムに関するより有意義なデータを生成することで、より多くの研究の発展を後押しすることを目指すものです。現在、このプロジェクトは多くの困難に直面しています。(1) 非営利団体発のプロジェクトであり、継続的にサポートするための十分なリソースがありません。(2) 現在、プロジェクトチームには開発者が一名しかおらず、エンジニアを雇用するための十分な資金がありません。 #### SOS Map 新型コロナウイルス感染症の流行期間中のベトナムでは、防疫政策により食べ物のデリバリーやテイクアウトが禁止されていたため、食べ物を提供できる人と必要とする人をつなぐ「SOSマップ」が開発されました。食べ物の提供だけでなく、マスク、防護装備、現金を提供することもできます。 ![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_f555b872ff8a12657a38f8a0ff3bed5a.png) > Image from [Vietnam Times](https://vietnamtimes.org.vn/vietnams-digital-map-connecting-to-help-people-in-need-34436.html) ### 二、インド インドからのインタビュー対象者は、インドでは人々の政府に対する信頼が低いため、台湾政府とg0vのような官民協力モデルを実行するのは困難であるとの考えを示しました。現在、インドにはシビックテックのコミュニティやプロジェクトがおそらく存在しない(あるとしても非常に少ない)と思われます。最も近いものは「[Civic Data Lab](https://civicdatalab.in/about)」で、このプロジェクトはオープンな知識を通じて行政改革への市民参加を促すことに尽力しており、政府、非営利団体、シンクタンク、メディア、大学などといった組織のデータとIT能力を向上させることにより、大規模なデータドリブンによる意思決定の実現を目指しています。 ### 三、ミャンマー ミャンマーのインタビュー対象者は、ミャンマーには「Code for Change Myanmar」があり、これまで何回かのハッカソンを開催してきましたが、継続には問題があったため、「Code for Change Myanmar」のメンバーはシビックテックに焦点を当てた企業「Phandeeyar」を別に設立したと語りました。「Phandeeyar」では、シビックテックコミュニティをつなぎ、ジャーナリストや市民社会の育成に関連する多くの仕事を実行し始めました。 ![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_ba3cbe656526f5bd3154013f43ba3adc.png) 2015年のミャンマー選挙中、「Phandeeyar」は市民グループと政府の選挙管理委員会や技術スタッフを結び付け、APIの確立とシビックテック選挙プロジェクトの開発に官民連携で協力しました。その後も2021年の軍事クーデターまでの期間、市民と議員が直接コミュニケーションできるツールを作り続けました。「Phandeeyar」はシビックテックプロジェクトの立ち上げに加え、プロジェクトが継続できること、他のニーズへの応用や、他国で選挙活動に従事している人、または同じ問題に取り組みたいと考えている人に活用してもらえるように努めています。 ![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_797d086f439bac649c6c3813b2239f70.png) ミャンマーには「Phandeeyar」のほかにも、2022年に設立されたシビックテックプロジェクト「ミャンマー・インターネットプロジェクト」があり、2007年の政治的要因に基づくミャンマー初のインターネット封鎖、2012年から17年までのソーシャルメディア上での大規模な民族虐殺扇動したヘイトスピーチなどを記録しています。 2021年のデジタルクーデター以降のミャンマーのインターネットの歴史についても、記録を通じてさらに研究していきたいと考えています。 ミャンマーでは、民主主義に関連するすべてのことが脅威とみなされているため、民主主義問題のために活動する多くの人々は自分の名前を使うことができずにいます。民主的な方法でシビックテックを実践することは難しく、2021年の軍事クーデターで政権が掌握されてからはさらに困難になるでしょう。ミャンマーの市民社会のメディアリテラシーとデジタルセキュリティ意識を促進することは難しい上にリスクを伴います。したがってミャンマー関連のシビックテックプロジェクトに取り組むためには、ミャンマーを離れ、メルボルン、スリランカ、チェンマイなど、国外に出る必要があります。 ミャンマー関連のシビックテックプロジェクトやコミュニティはさまざまな国で運営されていますが、コミュニケーションを匿名で行わなければならない場合があったり、高いデジタルプライバシーが必要とされるため、当初の勢いを維持したり、強化することが難しいのが現状です。コミュニティを作ろうとしても、市民参加や継続的な発展に難題を抱え、依然として困難がつきまといます。 ![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_3003c9aca3d128e7707f57b9a9295c86.png) 現在のミャンマーは軍事政権下にあり、g0vのようなコミュニティを設立しようとする場合、実名を使用することはできず、コミュニティのメンバーが参加しているプロジェクトを公開することもできません。プロジェクトを発起したり実施したりするには、プロジェクトの結果が基本的人権の原則に違反することを防ぐために、プロジェクトがプライバシーの原則、人権の原則などを遵守していることを確認する必要があります。したがって、ミャンマーでシビックテックコミュニティを設立するためには、身分とセキュリティが保護できるように文化を調整することが前提条件となります。この前提が確立でき、参加者が政府や軍からマークされる対象にならないのであれば、g0vのモデルを参考にしてミャンマーのシビックテックコミュニティを設立し、たとえば国民の安全保障意識が軍事的・政治的な影響を受けないなど、コミュニティを通じた社会意識の向上などを促進できる可能性が生まれます。このほかにも、他の問題を引き起こすことを避けるために、官民連携を達成することはますます難しくなっています。 ### 四、中国 中国からのインタビュー対象者は、中国でg0vモデルに基づいてコミュニティを確立または運営しようとした際、g0vコミュニティの初期段階から学ぶことはできるかもしれないものの、持続可能なコミュニティを確立することは困難または不可能であると考えていました。コミュニティを長期的に安定して運営したいのであれば、保守・運営のために従業員を雇用する必要がありますが、それにはリスクが伴います。中国では、特定のテーマのプロジェクトは秘密裏に実行することしかできず、一度に集まって迅速にプロジェクトを完了したらすぐに解散し、また別のテーマに取り組むにはまた素早く集まって取り組み、その後は個人の安全を確保するために直ちに解散しなければなりません。 ### 五、タイ ![Image from ELECT.in.th](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_f3da79919d8fab04c5382809f91ccaaa.png) > Image from [ELECT.in.th](https://elect.in.th/politics-and-business/#/p/%E0%B8%84%E0%B8%A3%E0%B8%B9%E0%B9%84%E0%B8%97%E0%B8%A2%E0%B9%80%E0%B8%9E%E0%B8%B7%E0%B9%88%E0%B8%AD%E0%B8%9B%E0%B8%A3%E0%B8%B0%E0%B8%8A%E0%B8%B2%E0%B8%8A%E0%B8%99) 2014年のタイのクーデター後、選挙権を含む市民権が無期限に停止されたため、クーデター後、初のタイ総選挙が実施されたのは2019年3月24日のことでした。その8年間、タイの国民は投票権を行使することができませんでしたから、2019年の選挙は大きな注目を集めました。2018年末、メディア、テクノロジー、デザインなどの民間企業が共同で開発したオープンソースプロジェクト「ELECT.in.th」は、データの視覚化、インタラクティブでゲーミフィケーションを採用したコンテンツで複雑な選挙データを翻訳し、読みやすく信頼性の高い有用な情報を国民に提供し、民主主義の思想の影響力を広げました。2019年のタイ総選挙は、分散型ハイブリッドシステムが採用されるため、「ELECT.in.th」は投票数と議席数をリアルタイムで計算し、最新の投票情報を国民に提供するオープンソースプロジェクト「Elect Live!」をさらに開発しました。 ![Image from Elect Live!](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_2e284c5563a20af62152273e6e0c80d3.png) > Image from [Elect Live!](https://elect.thematter.co/) 台湾のg0vプロジェクト「Cofacts 真的假的」に触発されて、タイでは「Cofact Thailand」プロジェクトが設立されました。これは、シビックテックとニュースメディアを組み合わせて、編集チームとボランティアが共同でファクトチェックを行い、民衆に共有と交流の機会を提供できるようにするものです。このプラットフォームでは、誰もが「事実」と「意見」を区別し、デジタル時代の偽情報の問題を解決するファクトチェッカーになることができます。さらに「Cofact Thailand」では、疑わしいメッセージを報告するための LINE botも提供しています。「Cofact Thailand」のメンバーは、タイの政治的な背景で国民は一般的にメディアを信頼していないため、ファクトチェックのプロジェクトはタイで大きな信頼と有用性を得ることができると話しました。と同時に、こと、国土が広く都市部と農村部の間に格差があるため、このプロジェクトを利用してもらい、コミュニティを維持していくためには、各地でより認知してもらえるように動くことが必要です。ファクトチェック以外にも、「Cofact Thailand」はコロナ禍でタイの保健省と協業し、正確な防疫情報を広め、民衆が正確な衛生情報にアクセスできるようにしました。 ![Image from Cofact Thailand](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_a5c4dcb84a895e6e780315ddee4ec3b2.png) > Image from [Cofact Thailand](https://blog.cofact.org/category/fact-checks/) ### 六、マレーシア ![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_1f77bd8ec97e947aef618deb19d4ac4b.png) > Image from [Sinar Project](https://sinarproject.org/) マレーシアのシビックテックプロジェクト「Sinar Project」は、オープンデータと政策の分析を体系的に一般公開し、閲覧できるようにすることで、マレーシア政府と国会をよりオープンで透明にし、市民の政治参加を促進し、政府の政策実施と汚職問題を監視できるようにしました。 ### 七、韓国 #### (一)韓国のシビックテックコミュニティ紹介 ##### 1. Code for Korea ![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_8b5b7c0e45a78a32de0ed5be518c11f0.png) > Image from [Code for Korea](https://codefor.kr/) 韓国のシビックテックコミュニティの一つ「Code for Korea」は、気候危機、政府のオープンデータ、労働安全事故、社会事件、政治献金などの社会問題をデジタル技術を使用して共同で解決するために市民たちが設立しました。「Code for Korea」は、新型コロナウイルス感染症が流行していた2020年2月に設立され、約17人の市民が「Public mask」アプリを開発し、200人以上のシビックハッカーが協力して新型コロナウイルス感染症に関するオープンデータを整理しました。現在コミュニティには、エンジニア、デザイナー、ジャーナリスト、弁護士、プランナー、社会運動家など、シビックテックに関心のある人々が参加しており、全員が自発的に協力してコミュニティや共同プロジェクトを運営しています。 「Code for Korea」では、およそ月に一度「Meet & Hack(ハッカソン)」をオンラインとリアルで開催しています。コミュニティパートナーがプロジェクトを共有し、仲間たちがシェアし合ったり協業してプロジェクトを進められるようにしています。 > Code for Korea Webサイト:https://codefor.kr/ ##### 2. NullFull (널채움) ![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_94900c478e40344cb4dd73eb5bbcfeef.png) > Image from [NullFull](https://nullfull.kr) 「NullFull」は、2016年から活動しているシビックテックコミュニティです。開発者、社会活動家、デザイナー、データアナリスト、システムエンジニアといった参加者たちが集まる会議を毎週月曜日に開催しています。このコミュニティが手がけたプロジェクトに下記のようなものがあります。 * 年次支出財務諸表の公開データに基づいて、国会議員が好んで訪れるレストランのマップを作成。 * 商品のバーコードの写真を撮ってWebサイトにアップロードするだけで、消費者はその商品の販売元の評判が悪いかどうかを簡単に判断できる。 * 有権者が議員候補者に直接電子メールを送信できるシステムを開設し、議員候補者に対して性犯罪者に対する強力な罰則を設ける刑法改正を要求。 * メディアの貧弱なデータ視覚化を改善し、「NullFull」によって再作成する。 > NullFull Webサイト:https://nullfull.kr ##### 3. Semicolon コミュニティ このコミュニティは「Korea Code Fair」から始まり、韓国政府の科学技術情報通信部と韓国科学技術院によって設立されました。コミュニティのメンバーは主に全国各地の中高生であり、チャットツールを使用してリアルタイムでコミュニケーションをとり、プラットフォームを管理しています。 このコミュニティはシビックテックに対する熱意があるだけでなく、ソフトウェアエンジニアリングのさまざまな分野に関心を持つ中高生で構成されているという特徴も際立っています。このコミュニティでは下記のようなプロジェクトが開始されました。 - ウイルス(유바이러스):新型コロナウイルス感染症のパンデミックを受け、予測症例や感染者の移動経路などを含む国内外の症例データをプラットフォームで提供。 - Find Masks(마스크찾아줌):前のプロジェクトに引き続き、コミュニティは公共マスクの在庫データを提供するサービスを開発しました。注目すべきは、マスク情報のAPIを提供する韓国政府との連携がプロジェクト成立の鍵となっている点です。 #### (二)韓国のシビックテックプロジェクトの経験共有 ##### 1. 官報マップ(Map of Gazettes) ![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_30fa8152394705695405a18dfd2af345.png) > Image from [Map of Gazettes](https://gongbo.codefor.kr/) 「Code for Korea」プロジェクトの一つ「官報マップ」は、2022年の「オープンデータ・デー」に開始されました。15人のシビックハッカーが、PDFやDOCファイルで公開された情報を含む 243件の地方自治体のオープンデータを自発的に収集し、各自治体の官報のデジタル化を評価します。たとえば、プサンのデジタル官報は官報をPDF形式でアップロードするのではなく、項目ごとにファイルを提供し、さらに官報の種類や発行組織といったメタデータも表示して、一般の人々がこのメタデータを使用して検索できるようにしています。ただし、官報は地方自治体ごとに大きく異なるため、デジタル化の程度を測定するのは難しい場合もあります。データが収集された後、このプロジェクトは韓国の「知能情報社会振興院(NIA)」からの資金援助を受けました。プロジェクト参加者は、このプロジェクトは政府と直接協力できておらず、もし政府関係者と直接コミュニケーションをとる機会があれば、双方にとって有益であり、より良い影響力を発揮できるはずだと述べました。 > プロジェクトのWebサイト:https://gongbo.codefor.kr/ ##### 2. テロレス(테러리스,terrorless)プラットフォーム ![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_83f3f736d658ce6b170a133984d3a95f.png) > Image from [無恐怖(테러리스,terrorless)平台](https://terrorless.01ab.net/) このプロジェクトは四人の大学生からなる「01abチーム」が運営しています。 2023年、韓国では無差別殺人事件が起こり、国民の不安を引き起こしました。そこで、地図を使用して、テロの脅威に関するリアルタイムの最新情報、関連ニュース記事へのリンク、容疑者の逮捕状況を提供するプロジェクトが発足しました。これにより、皆が情報を入手できるだけでなく、一般の人々が潜在的な脅威を報告し、公共の安全を維持するために協力するためのプラットフォームが生まれました。 このプロジェクトは開始後すぐに一般の人々に使用されるようになりました。プラットフォーム開設初日に50,000人以上がサイトを訪問し、ソリューションの即時的な関連性と価値が理解されました。韓国社会はその安全性の低下に直面しているため、チームは特にサイバー脅威による社会不安の増大に対する緩衝材を提供したいと考えています。 > プロジェクトのWebサイト:https://terrorless.01ab.net/ #### (三)政府との協業経験 韓国のシビックテック参加者らは、政府とシビックテックプロジェクトの関係は雇用関係ではなくパートナーシップであるべきで、予算の使用状況や、購入したアイテムがどこで使われているかの確認など、多くのコミュニケーションが必要になると指摘しました。 韓国政府は予算について非常に慎重であり、資金の具体的な用途、人材採用、組織についての道徳や信頼性に関する過去の評判などが重要な鍵であると考えています。ただ、シビックテックのプロジェクトやコミュニティでは、予算だけでなく、政府が行使可能な権限、決定、支援を継続する意欲も大切です。為政者が変わると予算が削減され、政府関係者は予算が削減されるとプロジェクトが終了すると考えがちですが、予算が削減されてもプロジェクトは違う方法で実行することができます。市民たちはこうしたプロジェクトの継続性に関心を持つべきです。 韓国のシビックテック参加者は、予算の大小に関係なく、シビックテックのプロジェクトやコミュニティが人々やコミュニティを結び付けることにもっと重点を置き、予算の変更がプロジェクト全体に影響を及ぼすことを避けられるよう、可能な限り独自の独立性を見つけるよう努める必要があると考えています。 さらに、政府職員がシビックテックを理解して協力することで、政府により多くの利益がもたらされることを理解してもらうために、政府職員をどのようにサポートするかも非常に重要です。韓国のシビックテック参加者は、他国政府や自治体との間にはある程度の競争が生じることから、政府職員は他よりも優れた成果を上げることを望んでおり、他の地域の成功体験を模倣したいというニーズから、政府に関連する事例、国内外の法規や政策を提供することも必要であろうと話しました。しかし、政府職員のテクノロジーに対する理解は限られていることから、プログラムコードなどの情報を提供するのではなく、彼らが成功体験を得る必要があります。さらに、公務員向けのシビックテック教育や訓練も非常に重要です。シビックテックと政府の間の翻訳者や教育、教材が必要であり、政府職員に「シビックテックに協力した」という証明書を発行することも検討できます。コラボレーションにおいては、政府が必要とするKPIを理解し、達成することも非常に重要です。KPIは一種の共通言語です。政府はシビックテックプロジェクトの目標に対してあまり個人的な好みを持たず、もしかするとメディアが報道した数だけを重視するかもしれませんが、これとプロジェクトの目標は矛盾するものではなく、官民が一緒に達成できるKPIです。これはさらに、韓国の政府関係者の中には、自主的にシビックテックのプロジェクトやコミュニティについて学び、その経験を政府内部で共有してくれるような人もいます。時として近付きすぎるのも良くないことがあり、両者間でバランスが取れた関係を維持することが重要です。 ### 八、日本 #### (一)日本のシビックテックコミュニティの紹介 ![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_c0f25c3d678b6da3f4d0c48786d93f81.png) > Image from [Code for Japan](https://www.code4japan.org/zh-TW) 「Code for Japan(CfJ)」 は、「ともに考え、ともにつくる社会」を提唱する日本のシビックテックコミュニティです。シビックテックの概念が台頭した後の日本では、Code for Japan、Code for Sakeといった「Code for(地域/テーマ名)」の動きが日本各地に広がり、現在80ほどのコミュニティが存在します。 CfJは Slack、Notion、GitHubを利用しながらコミュニティを運営し、プロジェクトを開発しており、シビックテックに興味のある人は誰でも自由に参加することができます。 オンライン/オフラインでの協業に加え、毎月一日限定の「Social Hack Day」ハッカソンも開催しており、コミュニティのメンバーが興味のあるプロジェクトを提案することができ、協力者を募ることができます。 CfJでは「Civictech Live!」など、新しいシビックテック参加者を対象としたさまざまなイベントを実施しています。2020年からは「シビックテックチャレンジカップU-22」をスタートさせ、学生たちが社会課題を理解し、解決策を一緒に考えるきっかけを作り出しています。課題の発見から始まり、アンケートやユーザーインタビューなどのプロセスを経て、最終的には製品のプロトタイプを開発し、シビックテックで社会発展を促進するという目標の達成を目指しています。 現在、CfJは法人申請中で、コミュニティ運営をサポートするために少数の正社員を雇用しています。 > Code for JapanのWebサイト:https://www.code4japan.org/zh-TW #### (二)日本のシビックテックプロジェクト経験 ##### 1. Code for Sake: ![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_c1c47d7bec2208975dc55c8af28736ca.png) > Image from [Code for Sake](https://sakepedia.code4sake.org/) 日本には戦前全国に5,500軒あった酒蔵が、2017年現在にはその3分の1以下の約1,500軒しか残っていません。さらに、上位13蔵が日本酒市場の50%以上を占め、その他はほとんどが小さな酒蔵です。ビールやワインなどアルコール飲料の選択肢が増えるにつれ、そうした小さな酒蔵は経営難に直面するようになりました。そこでこのプロジェクトは、20〜50人の市民らが協業して全国の日本酒と酒蔵情報を収集し、これまで失われたデータと統合することで、生産者と消費者の間でより多くのつながりを確立しようとしています。と同時に日本酒の文化や技術を世界に発信し、酒蔵の持続可能性を一緒に考えます。このプロジェクトは、CfJで毎月開催されるハッカソンで継続して運営されています。現在の主な課題は、プロジェクト内の未完了のタスクをどのように引き継いだり追跡するかです。 > プロジェクトのWebサイト:https://sakepedia.code4sake.org/ ##### 2. NHK Hackathon 2022 ![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_53e1a204fcddd13d6173f5ef940d255d.jpeg) > Image from [NHK 取材ノート](https://note.com/nhk_syuzai/n/n781b30508c46) 2022年の「NHKハッカソン」は防災がテーマで、NHKが主催し、CfJがサポートしました。ハッカソンでは参加者同士で防災に関するアイデアを交換したり、デモを作成したりして、一人ひとりの命を守る方法を一緒に考えました。当日は約60名が参加し、計11のチームが誕生しました。 > プロジェクトのWebサイト:https://note.com/nhk_syuzai/n/n781b30508c46 ##### 3. Civictech Zen Chiba ![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_d7d267a0a088488baebf6d3ff4f86a65.png) > Image from [Civictech Zen Chiba](https://sites.google.com/view/civictechzenchiba/) 千葉県にはいくつかのシビックテックプロジェクトがあり、2019年にCfJが千葉でサミットを開催したことをきっかけに、これらのプロジェクトが自発的につながり、共同でミートアップやイベントを開催するようになりました。メンバーは総勢10~30名ほどです。地域を越えたプロジェクトや大規模なイベントなどは必要に応じて連携し、通常はそれぞれの活動に集中します。 > プロジェクトのWebサイト:https://sites.google.com/view/civictechzenchiba/ ##### 4. Coco makers ![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_3a31c3e8356f66493d073444007ef37e.png) > Image from [Coco makers](https://cocomakersmap.glitch.me/1st.map.html) このプロジェクトでは、聴覚過敏者がカフェやレストランで音の刺激に遭遇することが多いという問題を解決するために、シンプルなユーザーインターフェイスで、子どもの高い話し声、厨房の水が流れる音、ドアの開閉やノック音、時計の秒針の音など、さまざまなレストランやカフェでの音やその他の刺激情報をユーザーに報告・評価してもらいます。マップ形式で表示することで、聴覚に敏感な方でも安心して外出できるよう配慮しています。 このプロジェクトは日本の異なる地域の四人の学生によって、オンライン協業で設立されました。より効率的に協業するために、メンバーはそれぞれの状況と強みを共有し、それに応じてタスクを割り当てました。最大の課題は、ニーズを明確に特定することです。聴覚過敏者は、刺激に対する敏感さを直接表現することを不快に感じる場合があります。しかし、彼らをサポートし、より快適な食事環境を作るためには、誰がどのようなサポートを必要としているのかを他の人に知らせることが重要です。そこでこのプロジェクトでは、カフェの従業員やオーナーに負担がかからないようにしながら、聴覚に敏感な人々が主体的に表現するプレッシャーをいかに軽減するかを大切にしました。 プロジェクト発起人の一人は、シビックテックプロジェクトを成功させるための鍵は、プロジェクトのテーマを決めて仲間を募集した後、プロジェクトのタスクに従ってチームを組織し、それぞれのメンバーの役割を決定することが大事だと考えています。次に、目標とそれを達成するためのKPIを設定し、すべての利害関係者が意思決定プロセスに参加する必要があります。 >プロジェクトのWebサイト:https://cocomakersmap.glitch.me/1st.map.html ##### 5. 東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト ![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_756e9dad30a4ecb2080d89d539e6a42d.png) > Image from [Tokyo COVID-19 Task Force website](https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/) このプロジェクトでは、東京都、CfJ、市民315名が協力して、東京の新型コロナウイルス感染症に関する情報をまとめたWebサイト「東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト」を作成しました。 (1)プロジェクトをスムーズに発展させるために重要な要素: A. 効果的なコミュニケーションプラットフォームを確立する プロジェクトへの参加に興味がある人は誰でも、Slackを使用してコミュニケーションしたり、GitHub上のオープンソースコードを表示したり編集したりできます。オープンソースであることにより、参加に対する技術的なハードルが低くなります。 B. 参加のハードルを下げる Webサイトの開発後、このプロジェクトは CfJ のハッカソンに参加しました。ハッカソンでWebサイトの使いやすさと多言語教育を改善する方法についてのレッスンを行ったところ、数人の経験者が開発仲間に加わってくれました。 C. シビックテックコミュニティが蓄積したリソースを活用する プロジェクトの開発プロセスでは、シビックテックコミュニティによって開発されたオープンソースプロジェクト「紙マップ」を使用しました。 「紙マップ」は、2019年に台風19号が千葉や東日本の他の地域に甚大な被害をもたらした際、CfJによって開発されたプロジェクトで、給水、避難所、フリーWi-Fi、ガソリンスタンドなど、災害現場に役立つ情報を地図上でまとめた情報サイトです。本プロジェクトは、複数人で開発しても問題が発生しにくい技術「NuxtJS」を用いて開発されました。「Paper Map」が蓄積した人材と技術により、「東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト」プロジェクトの開発プロセスでは、これまでの経験を効果的に活用することができました。 (2)プロジェクトで直面した課題 GitHubは誰でも開発に参加できる性質上、東京都の公務員や CfJ 以外の方も開発に参加することができます。しかし、誰かがソースコードを無作為に変更すると混乱が生じます。これを避けるために、GitHub に提出された提案は まずCfJ のメンバーによって検討および議論され、適切かどうかが判断されます。 修正案はレビューを通過した後、実際のウェブサイトに反映されます。開発プロセス中に制限を設定することにより、混乱を引き起こさない方法でまとめられ、さまざまな市民の提案を受け入れます。 しかし、技術コラボレーションの過程では、エンジニアだけで判断できないもの、東京都との協議が必要なものも発生します。そのため、難しい問題を処理できる人の数が限られている場合、開発の負担が特定の人に集中する傾向があります。 > プロジェクトのGitHub:https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/ 、 https://github.com/Tokyo-Metro-Gov/covid19 ##### 6. 加古川市市民参加型合意形成プラットフォーム ![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_fe706321c8c8ae63de56cf1d9fe1d868.png) > Image from [加古川市市民参加型合意形成プラットフォーム](https://kakogawa.diycities.jp/) このプラットフォームは、加古川市役所がCfJと連携し、2020年10月から運営しています。住民の意見を集約して議論し、その意見を政策に結びつけることで、より住民ニーズに沿ったまちづくりを実現し、実際の政策に住民の声を反映させるための場です。たとえば、プラットフォームを通じた意見募集を経て、2021年3月に「加古川市スマートシティ構想」を策定しました。現在の実施状況を公開し、今後の加古川のまちづくりについての意見やアイデアを広く募ることが期待されています。たとえば、加古川市役所が2023年2月に発表したJR加古川駅周辺のまちづくり(素案)に合わせて、プラットフォーム上では駅周辺のまちづくりや、魅力的な観光名所づくりについての意見を募集しました。 > プロジェクトのWebサイト:https://kakogawa.diycities.jp/ #### (三)政府との協業経験 CfJのメンバーは、加古川市の市民参加型合意形成プラットフォームは非常に良い事例であると話してくれました。加古川市は非常に小さい地域ですが、地方自治体は非常に活発で、大きな成功を収めています。そして、それが大都市ではなく地方都市から始まっていることから、より多くの地方都市も「自分たちにもできる」と信じることができるでしょう。そして、このプロジェクトを始めたのは市長ではありませんでした。市役所の公務員がシビックテックコミュニティのメンバーを市役所に引き入れたことでコミュニケーションがスムーズになり、リラックスしながら事例を残せるようになりました。人は非常に重要な要素であり、シビックテックコミュニティと同じ価値観を共有する政府内部の人間が必要です。また、政府内のさまざまな立場の人とのコミュニケーションには、それぞれに適したコミュニケーション方法があることに注意することも重要です。政府との関係についてCfJのメンバーは、CfJの創設者がデジタル庁に加わったため、政府との関係を断ち切るのは少し難しいと述べました。 ### 九、台湾 台湾のシビックテックコミュニティとプロジェクトについて紹介してきましたが、この段落では、シビックテックにおける民間団体と政府との協力の経験を共有します。 台湾には官民協力のさまざまなモデルがあります。たとえば、政府が民間に応用や監視のために公開しているオープンデータ、市民が意思を表明または政策に参加するためのプラットフォーム、民間の専門家や学者を招いて共同でシュミレーションしたり、政策を実施すること、政府案件に対して民間企業のコンペ実施などが含まれます。以下に、対談「官民連携は理想でもあり課題でもある〜異業種協業の苦い道のりを大公開〜」において、官民それぞれの代表者の話の要点をまとめます。 #### 1. 官民連携の中核となる要素 (1)官民どちら側にも変化を起こそうと信じる人がいる。 (2)オープン:会議記録、連絡先などをオープンにできている。 (3)具体化:解決策のプロトタイプを作成すると、官民双方が同じ出発点から議論に臨めたり、コミットしようという意欲がより高まります。 #### 2. 官民パートナーシッププロセスの重要なポイント (1) 政府側で協力してくれる人材を見つける 自分たちの提案が露出される時間とエネルギーを増やします。さらに、短いスピーチを準備し、機会があれば長官に直接提案してみましょう。提案やソリューションのポイントを完璧に準備し、ストーリーを語る能力が成功の鍵です。 (2) すべてのステークホルダーのニーズを理解し、問題点を見つける 政府は国民にサービスを提供しますが、官民連携の最も重要なユーザーは必ずしも国民ではなく、公務員である場合もあります。さまざまな立場の人のニーズを理解し、真の問題点を見つける必要があります。かつて台南市政府でスマートシティオフィスの事務局長秘書を務めたg0v貢献者RRは、台南市のワクチン接種プロジェクトを例に挙げ、公務員の視点から語ってくれました。コロナ禍当時、ほとんどの政策は民衆向けでしたが、ワクチン接種プロジェクトは医療従事者を対象にしたもので、その登録プロセスには多くの問題があることが分かりました。そのため、プロジェクトを成功させるための最初のステップは保健局職員に気を配り、彼らのニーズに沿ったシステムを設計することでした。そして、大型接種場が開設されると聞けば現場へ赴いて受付係を担当し、どこに問題があり、デジタル化が必要かをチェックしました。医療従事者にコンセンサスが取れてから機能を追加するというのは、信頼関係が構築できるコラボレーションのプロセスです。 RR は、政府の各部門の責任者たちが当初は「新しいアイデア」に比較的心配していたものの、保健局のスタッフたちが受け入れている様子を見て、続ける価値があると認めてくれたと語りました。最適化が実行された後は、ワクチン接種の予約が30秒で完了するだけでなく、データベースと繋いだことでチェックイン時に直接情報を入力できるようになり、高齢者にとっても利便性が向上し、混雑による感染リスクも軽減することができました。 (3) 連絡・打ち合わせ g0vのプロジェクト「LASS」と経済部水利署との官民協力を例に挙げてみましょう。「LASS」の創設者・哈爸 は、協業において最も重要なことはコミュニケーションであると語りました。「どんな困難でも、それを解決するには会議を開くことが必要で、会議を何度か開いてこそ解決できる、官民連携は継続的で進展がある会議が必要だ」とし、会議を開くことが目的なのではなく、結論と進展が目的であると強調しました。官民連携の会議には次の重要な要素があります。 A. 会議には誰でもエントリーできます。その際には実名で登録する必要があります。 B. 会議に参加する民間側には、提言の機会を作ります。例:初めて参加するNGOには、必ず5分間スピーチしてもらう等。 C. 会議のテーマとプロセスについては、官民双方が合意する必要があります。 D. 会議は固定的かつ柔軟に開催する必要があります。例:だいたい二ヶ月に一度会議が開かれますが、固定ではありません。 E. 公開資料: * 連絡先:会議にエントリーすると、参加者の連絡先リストを受け取ることができます。協力の目的は協業ですから、どのような参加者がいるかを知り、連絡できるようにするためです。 * 議事録:議事録は会議終了時に共同で作成し、内容を確認の上で公開します。 * スライド:会議で使用するスライドは会議前に提出され、会議前に全員に共有されなければなりません。会議は結論を出すための場であり、出席者は会議前にスライドを確認してから参加する必要があります。 ::: success **LASSのご紹介** 「LASS(Location Aware Sensing System)」は、オープンソースと公共福祉の「環境センサーネットワークシステム」。台湾各地の“maker”と呼ばれる協力者たちに向けて、センサー装置の設置を呼びかけています。誰もが簡単に設置でき、環境の現状を理解、共有できるように、PM 2.5濃度をリアルタイムで監視できる装置「エアボックス」を開発し、市民たちが自分が暮らす場所の空気の質を自主的に監視できるようにし、政府の大気質測定が行き届かない部分を補っています。また、Facebook、共同執筆、Github などを通じて結果を共有し、LASSコミュニティを形成しています。 2020年、経済部水利署との官民協力で始まった「頭前川実証プロジェクト」では、官民の横断的な協業とスマートウォーターネットワークを通じて新竹・頭前川の管理が開始されました。この官民協力は、官民それぞれのコミュニティが必要とするデータと政府が提供できるリソースを評価するだけでなく、政府組織間のデータ交換も促進しました。複数の関係者の協力により、雪山山脈を源流とし、新竹県内を流れるこの頭前川に関して、完全かつオープンな合流点、水文学の基礎、GISなどのデータが整備されました。これは、今後省庁を越えた交流の事例規範にもなり得るでしょう。 ::: #### 3. 困難 (1) 政府の窓口で冷たい対応や協力性の低さに遭遇し、それが官民連携や計画の実行に影響を与えそうな場合には、次のようなアドバイスがあります。 A. ほとんどの場合、公務員には理解して実行するためのリソース、時間的な余裕があまりありません。理解がさらに進むよう、公務員の視点に立ち、彼らをサポートしましょう。 B. その組織や窓口に詳しい人を探し、内情や実情を聞いてみましょう。 C. 過去にその組織と合作したことのあるNGO・NPO、専門家、学者など、政府側が信頼する人を探し出し、彼らの考えを聞いたり、彼らから提案してもらえないか相談してみましょう。 D. 行政側の長官や議員に協力を求めることは、窓口からの反感を招く可能性があるため、お勧めできません。 (2) 公務員の人材育成は特定の対象や事業のみを対象としており、あらゆるステークホルダーとのコミュニケーションが困難になりやすい。 特定の対象には考えを持ったりコミュニケーションが得意な公務員もいますが、多様な管理やコミュニケーションの経験が浅くなりがちなのは、公務員研修の限界です。たとえば単なるビジュアルデザインではなく、サービスやビジュアル、グラフィックのデザインが求められるなどといったような、現代社会の変化に対応できない公務員も少なくありません。 (3) 刻々と変化する働き方が公務員制度に適応できない。 官民連携には相互協力が必要です。また、コロナ禍における台南市のワクチン接種プロジェクトでは公務員が朝、調査とサポートののためにワクチン接種所に行き、夜はエンジニアと協業する必要があったように、緊急事態に遭遇した場合、残業代などの就業制度が今の時代の働き方の変化にどのように適応できるかを検討する必要があります。 (4) 民間は多くの場合、政策の朝令暮改に協力する必要があります。 協業の仕方は官民の信頼関係に影響しますが、多くの政策が日々変化するに連れ、プロジェクトの実施内容も常に変更する必要があります。これにより案件を受け入れる組織のプレッシャーと作業負荷が増大しやすく、また、民間を不健康な状態にに押しやる可能性もあります。 (5) 即時的な官民協力は、入札に対応することが困難である。 官民の連携は、緊急事態が発生し、より効果的に問題を解決するために必要となり、入札の手順を踏むことが難しい場合も多くあります。協業を始めた後に調達のプロセスを急いで立ち上げると、今の協業相手ではない人が落札してしまい、その時点まで協力した民間側の作業が無駄になってしまいます。また、いつも同じ組織と協業することができないという事情もあり、良好なパートナーや、民間組織のデータベースを作り上げ、より多様な組み合わせを生み出すことも必要です。 (6) あまり重要でない要求を減らすために、上司にインフラ整備の重要性を理解してもらう。 できるだけ話し合いや会議記録をオープンにし、誰もが見つけられるようにします。いつものやり方を繰り返すことで、知識が長官の常識になるように促します。 (7) データ処理で、データの整理に混乱や困難が生じることがよくあります。 データは処理前に手動で収集する必要があるため、公務員がデータの扱い方を理解し、プロジェクト管理の思考を持ち、他のシステムが使用できないかと考慮できるようになる必要があります。 ## まとめ シビックテックプロジェクトやコミュニティが始まるきっかけは至るところにありますが、それらが根付き、存続できるかどうかは、プライバシー、通信、言論の自由といった基本的人権がどの程度保護されるが鍵です。 ### オープンソースを通じて国境を越えた開発を再現し、普遍的な社会のニーズを解決する 疫病や偽情報など、暮らしに関わるニーズに対応する場合、既存の対応方法があれば、他の地域の類似プロジェクトのオープンソースやオープンデータを再現して開発し、地域のプロジェクトに合わせて調整しながら適応することができます。たとえば、台湾で生まれた「Cofacts 真的假的」は、オープンソースなので他のプロジェクトで使用したり、他の国の同様の問題の解決策の参考にすることができます。「Cofact Thailand」は規模も応用性もより完全なプロジェクトです。ただ、類似したオープンソースプロジェクトは、国によって異なる課題に直面することになります。たとえば、タイには広大な国土があり、都市部と農村部の間に大きな格差があるため、メンバーはプロジェクト推進により多くの時間とエネルギーを費やす必要があるため、職員とボランティアが共にプロジェクトを運用しています。 新型コロナウイルス感染症の流行中、日本の「Code for Japan(CfJ)」創設者である関治之は即座に台湾コミュニティのマスクプラットフォームの経験をシェアする記事を書き、日本のシビックテック界に大きな反響を呼び起こしました。CfJは、台湾に次いで「日本の奇跡」として知られる官民連携プロジェクト「東京都新型コロナウイルス感染症対策本部」を生み出しました。東京都が GitHub プロジェクトを開始した後、2日間で 800件近いコードの更新(commit)が殺到し、それは全世界のGitHubで最もホットなプロジェクトになりました。CfJ のSlack上でのディスカッションは瞬く間に爆発的に増加し、台湾のg0v貢献者達も参加し、プラットフォームのコンテンツが台湾華語に翻訳されました。東京に続き、北海道と神奈川県でもそれぞれのバージョンが生み出されました。 日本以外に、韓国のシビックハッカーもg0vの協業プラットフォームを参考にして韓国政府に情報公開を求め、韓国版のマスク情報プラットフォームを立ち上げています。 ### 社会セクターネットワークやシビックテックコミュニティを起点としたプロジェクトの創出 東アジアと南アジアでの経験から、プロジェクト開発の文脈は 2 つに要約されます。一つは社会セクター(非営利団体や企業など)から、もう一つはコミュニティからのプロジェクトの開発です。 前者について、権威主義な国では、シビックテックプロジェクトのために法人を設立することで、プロジェクトをより安定的に発展させることが一般的です。これ以外にも、各国にはより健全な発展を目指して法人化を申請するプロジェクトが数多く存在し、台湾の「Cofacts 真的假的」プロジェクトのように非営利団体の形態であることが多いです。また、日本のNHKとCode for Japanが共同でハッカソンを開催してポジティブな効果を生み出そうとしたように、ITを活用して社会課題を解決するためのイベントを開催してよりプロジェクトを立ち上げようとしている組織もあります。 コミュニティ発展型プロジェクトは、主に比較的オープンな政治情勢がある国で見られます。たとえば、台湾、日本、韓国の多くのプロジェクトは、それぞれの地域における最も大規模なシビックテックコミュニティから生まれており、ソーシャル ネットワークを確立することで、プロジェクトの活動が育成され、各地域の地域コミュニティや行動を発展させます。たとえば、「Code for Japan(CfJ)」は地域を越えたサポート構造を持っています。g0vコミュニティはガバナンス制度を採用しており、さまざまなプロジェクトのワーキンググループを自発的に形成するためにメンバーを招待し、コラボレーションプラットフォーム(SlackやHackMD)、SNS、イベント会場のレンタルといったコミュニティのリソースを共有しています。また、オープンソースを重視しているため、コミュニティ、さらには各国間でお互いのプロジェクトから学び合うことができ、また、台南やアメリカ西海岸など、さまざまな地域のコミュニティメンバーが独自に地域コミュニティを開発することも奨励されています。 ### 政権と政府による市民社会の抑圧の度合いが依然として決定的な影響を及ぼす ミャンマーと中国では個人の安全上の理由で長期プロジェクトを実施することが困難であることは前述しました。それに加えて、政権や政策がシビックテックプロジェクトやコミュニティに決定的な影響を与えるという点で、香港の例を参照することができます。 2016 年、香港の市民たちは台湾のg0vのようにオープンガバメント、オープンデータを推進し、市民の政治参加を促進しようと「g0v.hk」を設立しました。しかしながら、2019年の「反送中」運動の後、香港における言論の自由はどんどん制限され、ついには香港国家安全維持法が施行され、「g0v.hk(2021年6月30日に解散を発表)」を含む多くの非政府組織が自主的に解散に追い込まれてしまいました。それ以来、香港では政局の変化により、シビックテックを通じて社会の進歩を促進することが困難になりました。 シビックテックのプロジェクトやコミュニティは一般市民によって構成されているため、人権を侵害する法律はそうした個人の貢献しようという思いを押さえつけてしまいます。データ産業が比較的発達している大都市では市民によるIT系のコミュニティの存在が期待されていますが、独立したシビックテックコミュニティを発展させ、維持することはただでさえ困難です。さらに参加者が不安や懸念を抱いている場合、DXの恩恵を社会のさまざまなレイヤーで同時に実現することはできません。 その一方、参加者に身の安全の危険が及ばない民主国家では、行政の政策決定に対し、各国の市民がどれほど影響力を及ぼせるかどうかを観察し、比較することができます。一つ目は「監督権」、例えば選挙事務や政府支出などを「監督する権利」、二つ目はシビックテックプロジェクトの結果が政府の実質的な決定に影響を与えることを可能にする「参加する権利」です。近年、日本ではデジタル庁が、台湾ではデジタル発展部が設立され、民間から提出されたプロジェクトと政府機関が協業するシビックテックプロジェクトを担当・促進する部門が明確になりました。