--- title: 1-1 「g0v 台湾零時政府」とは何か?|g0v シビックテックプロジェクトとコミュニティの手引き|g0v Civic Tech Project & Community Handbook tags: jothon, NDI --- :::success :book: Return to the homepage of the handbook: https://g0v.hackmd.io/@jothon/ctpbook_jp "g0v シビックテックプロジェクトとコミュニティの手引き" is licensed under CC BY-NC. ::: # 1-1 「g0v 台湾零時政府」とは何か?|g0v シビックテックプロジェクトとコミュニティの手引き|g0v Civic Tech Project & Community Handbook ### Chapter 1: g0v シビックテックコミュニティ概論 ## 1-1「g0v 台湾零時政府」とは何か? ![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_9b1d2406907b825672598253004765ec.png) ### 「g0v 台湾零時政府」とは何か? g0vは、市民による社会貢献と、市民同士のつながりを深めることに特化した草の根で活動する民間コミュニティです。g0vコミュニティを通し、あなたは同じ志を持つ仲間と出会い、草の根方式であなたの理念を実践することができます。その成果をオープンソースモデルで公開することで、さらに多くの人々があなたの成果をバトンリレーのように繋ぐことができます。 g0vは「gov(政府)」の「o(オー)」を「0(ゼロ)」に置き換えることで、政府の役割をゼロから再考し、デジタルネイティブ世代の0と1の世界の見方を表現しています。 #### 運営方式 g0vはオンラインとリアルを組み合わせて活動しています。インターネットツールに加え、二ヶ月に一度開催されるハッカソンでは、参加者は自主的にプロジェクトを提案し、さまざまな専門を持つ人々の参加を呼びかけます。g0vのリアルやオンラインプラットフォームなど各種リソースとの協業でプロジェクトをアウトプットし、それをオープンソースで公開します。小規模のハッカソンワークショップも不定期で開催されています。分散型組織は皆の自主的な参加が必要です。皆で問題を探し出し、解決策を提案し、話し合いに参加してリソースを共有することで、「いいね」を押すことを具体的なアクションに替えます。 #### コミュニティの構成 オンライン・オフラインを含め、g0vの参加者はさまざまな領域から集まっています。「オープンソースコラボレーション」という理念を尊重しさえすれば、プロジェクトはソフトウェアに限定されることはありません。コミュニティ参加者の構成は、初期はエンジニアが多かったものの、現在は6割以上が非エンジニアで、デザイナー、法律、社会運動、文筆家などさまざまな領域の人々が参加しています。 プログラムを書けないけれど参加してもいいかって? もちろんです! #### プロジェクト g0vコミュニティのプロジェクトは多岐にわたります。2012年以来、50回以上のハッカソンが開催され、900以上の提案が呼びかけられました。提案のテーマはオープンガバメント、政策の監督、環境保護、偽情報(ディスインフォメーション)対策、住居政策、言語の継承、実験教育(オルタナティブ教育)から近年盛り上がりを見せるWeb3やAIなどがあります。どれもg0vコミュニティの参加者たちが自主的に専門領域を超えて協業したものです。社会的な関心事を結び付け、ともに連帯するというのはg0vの非常に重要な基礎概念です。 ![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/g0v-hackmd-images/uploads/upload_902f4aef422e5202778cf0a33f1f3299.png) --- ### g0v 零時政府宣言 ipa(瞿筱葳)によって提起されたこの宣言は、コミュニティの合意を得ながら現在の形に制定されていますが、これはコミュニティの話し合いによりいつでも改定されることがあります。宣言はコラボレーションとオープンソースを中心に据えるg0vの精神を明確に定義しており、このコミュニティにとって一種の憲法であるといえるでしょう。 :::info #### 私たちはさまざまな場所から来ました g0vはオープンなコラボレーションにより動かされているコミュニティです。参加者のバックグラウンドはエンジニア、デザイナー、社会運動家、教育者、文筆家、そして各種の専門領域を持った市民などさまざまです。皆、ITとコラボレーションによって台湾の社会をより良くするために団結しています。その気持ちがあり、自分の能力で貢献しようと思えれば、誰でもg0vに参加することができます。 #### 分散型組織で、自主的に貢献する文化を築きます 参加者は自分がどのプロジェクトに貢献するかを決めたり、プロジェクトの発起人になることができます。これが本宣言の基礎となる共通認識で、各プロジェクトは自ら運営し、その運営方法も自ら決めることになります。g0vコミュニティはさまざまなプロジェクトによって成り立っており、どれか単一の中心や代表、責任者は存在しません。 #### 市民参加を実践し、変化を創造します g0vはオープンソース運動から始まり、行動することで市民権(シチズンシップ)を発揮します。g0vの貢献者たちは言論の自由、オープンデータを支持しています。データをより閲覧しやすくし、データをより利用しやすくすることで、市民が公共の議題に参加することを促し、政府に影響力を発揮することを推進しています。 #### 成果を公開し、オープンソースから取得し、オープンソースから使用します g0vの貢献者はインターネットツールを通じて参加し、協業し、ハッカソンを開催します。各種プロジェクトの成果(ファイル、画像映像、コード、計算データ、データの分析結果やその実行方法など、それ以外のあらゆるもの)はオープンソースライセンスで公開され、より多くの人々が使用、改善、フィードバックできるようにすることで、最大の効果を発揮できることが必要です。 #### 楽しみながら、現状を変えよう 私たちは問題を見つけたら前向きにソリューションについて話し合い、手を動かし、その解決に挑戦します。異なる専門領域を持つ者同士、相乗効果を発揮しながら協力するための方法を見つけて、想像力を持って新しい方向へと向かいます。私たちは行動を持って現状を変えます。黙って共犯者になるようなことはしません。 #### 私たちは“あなた”です g0vは無党派、非営利で、草の根で集まった市民運動です。あなたはプロジェクトに参加して知恵を使ったり、労力を提供したり、金銭的な寄付をしたり、ハッカソンのスポンサーになることも、特定のプロジェクトを支援することもできます。あなたがこの宣言に同意してくれたら、g0vへの参加を歓迎します。何か話したいこと、貢献したいプロジェクト、私たちが暮らす世界にどのような変化を起こしたいか、一緒に話し合いましょう。 ようこそ、一緒に社会を変える力になりましょう。 <br/> ::: --- ### g0vの軌跡 **【2012 - 2016 年:コンセンサスと協業の基礎を確立】** :::warning ➞ハッカソンを開催。 ➞コミュニティ交流のプラットフォーム、オウンドメディアを開設。対外的な情報発信手段で異なるユーザー層にリーチ。 ➞インフラストラクチャ・ハッカソンをスタート。分散型のg0vコミュニティをどう運営して行くか、ガバナンス規範や協力体制をより良くするためのツールについて話し合う。 ::: * 2012 * g0v初のプロジェクト:中央政府の総予算視覚化 * 10/24 「g0v.tw」ドメイン申請 * 12/15 初めてのハッカソン開催 * チャットシステム「IRC」にg0vのチャットルームを開設 * 「g0v.tw 後勤中心」Facebookグループ開設 * 2013 * g0v 零時政府宣言を起草 * 「オープンソースモデル」「アクティビズム」「シチズンシップ」を三つの鍵となる理念として確立 * 「g0v.tw 台灣零時政府」Facebookページ開設 * 「g0v.tw 台灣零時政府」X(旧Twitter)アカウント開設 * YouTubeチャンネル「g0v.tw 台灣零時政府」を開設。毎回ハッカソンを映像で記録し始める * 全6回のハッカソンを開催 * 2014 * g0vコミュニティの後ろ盾として、運営チーム「g0v 零時政府 揪松団(jothon)」を設立 * ひまわり学生運動関係の情報まとめプロジェクトで、g0vが広く知られるようになった * 1万人近くが「政治献金デジタル化」プロジェクトに参加、24時間で30万件の資料をデジタル化 * 重要時事情報のまとめ:高雄ガス爆発事故 * g0vのSlackを設立。botによりIRCとSlackを同期 * g0vサミット2014を開催。二日間で500名以上が参加する国際サミットとなる * 初めてのインフラストラクチャ・ハッカソンを開催 * 全5回のハッカソンを開催 * 2015 * g0vと米国「Code for America」、欧州「Open Knowledge Foundation(OKFN)」が世界三大シビックテックコミュニティとされる(出典:https://bityl.co/PUgT) * 中華民国データ学会より「データ栄誉勲章」を受賞 * 重要時事情報のまとめ:八仙水上楽園爆発事故 * 全6回のハッカソンを開催 * 2016 * 重要時事情報のまとめ:台湾南部地震 * g0vニューヨークハッカソン * g0vサミット2016を開催 * 全5回のインフラストラクチャ・ハッカソンを開催 * 全5回のハッカソンを開催 **【2017 - 2019 年:異業種コラボレーションによるシビックテック育成プロジェクト】 ** :::warning ➞台湾の非営利団体と連帯する。 ➞国際的な対話を積極的に行う。 ::: * 2017 - 2019 * 「シビックテック・イノベーション奨励金」を準備。非営利団体と連携し、NGOらがテクノロジーツールやアウトソーシングを使用し、影響力の拡大をサポート。累計提案総数は272件、うち29件のプロジェクトが受賞、賞金総数は1,365万台湾元、メディアの報道件数は250本以上。 * 2017 * プロジェクト「Cofacts 真的假的」のLINEbotがローンチ、提起的に編集者らのミートアップを開催 * g0vバンコクハッカソン * 全4回のインフラストラクチャ・ハッカソンを開催 * 全5回のハッカソンを開催 * 2018 * 台湾のコミュニティとして初となる「林茲電子芸術大賞(Prix Ars Electronica)」電子コミュニティ功労賞を受賞 * 重要時事情報をまとめる:宜蘭線「普悠瑪(プユマ)号」脱線事故 * g0vサミット2018を開催 * 全4回のインフラストラクチャ・ハッカソンを開催 * 全5回のハッカソンを開催 * 2019 * g0v国際交流グループ設立 * 環境団体「地球公民基金会」がg0vハッカソンで「Disfactory 農地違反工場通報システム」を提案。定期的にプロジェクト会議を開催 * 台日韓合同の「Facing the Ocean(FtO)」を沖縄で開催 * 台日韓合同の「Facing the Ocean(FtO)」を台南で開催 * g0vニューヨークハッカソン * ドイツ「フリードリヒ・ナウマン財団(Friedrich Naumann Foundation for Freedom)」の招待を受け、複数の政党や国会議員らと交流し、ベルリンで開催された「Hacking Democracy Summit」に参加 * 全1回のインフラストラクチャ・ハッカソンを開催 * 全5回のハッカソンを開催 **【2020 - 2023 年:デジタル市民が根を張る】** :::warning ➞若い世代のデジタルコラボレーション能力とリテラシーを育成し、g0vの協業モデルを学校に導入。 ➞新型コロナウイルス感染症のパンデミックで多くの防疫関連プロジェクトが立ち上がり、リアルイベントをオンラインで開催。コロナ禍でもコミュニティは団結し協業を維持。 ::: * 2020 * 「零時小学校」プロジェクトがスタート * 重要時事情報のまとめ:新型コロナウイルス感染症 * 新型コロナウイルス感染症対応プロジェクト:マスクマップ、感染者足跡 * オンラインでイベントを開催し、集団感染のリスクを回避しながらも活動を継続できるよう「オンライン揪松団」を設立 * 台日韓合同の「Facing the Ocean(FtO)」を台南とオンラインで開催 * g0vサミット2020を開催 * 全2回のインフラストラクチャ・ハッカソンを開催 * 全4回のハッカソンを開催 * 2021 * 重要時事情報のまとめ:北廻線「太魯閣(タロコ)号」脱線事故 * 重要時事情報のまとめ:新型コロナウイルス感染症 * 新型コロナウイルス感染症対応プロジェクト:g0v実名連絡制度、在宅野菜宅配ボックス「vaxx.tw」ワクチンマップ * 全2回のインフラストラクチャ・ハッカソンを開催 * 全6回のハッカソンを開催 * 2022 * Podcastチャンネル「g0v Underground 零時電台」開設 * 重要時事情報をまとめる:ロシアのウクライナ侵攻 * 新型コロナウイルス感染症対応プロジェクト:迅速診断検査(RDT)マップ * g0v10周年、コミュニティ参加者共同で関連イベントを企画 * 全3回のインフラストラクチャ・ハッカソンを開催 * 全6回のハッカソンを開催 * 2023 * 台日韓合同の「Facing the Ocean(FtO)」をチェジュ島で開催 * 全2回のインフラストラクチャ・ハッカソンを開催 * 全4回のハッカソンを開催 * 2024 ~ * ... to be continued* **2023年で11年目に入ったg0vコミュニティ、現在の累計データ:** * Slack参加者 13,475名以上 * Slackチャンネル 916個 * Slackメッセージ 405,135通以上 * g0v国際サミット 4回 * インフラストラクチャ・ハッカソン 23回 * ハッカソン 60回 * ハッカソンでの提案数 980件 * githubプロジェクト 471以上 * Facebookファン・フォロワー数 146,000ユーザー以上